金型寿命への影響因子

  • 金型寿命への影響因子

金型破損原因追及の考え方

金型が短寿命で破損した場合に、先ず、その短寿命が突発的に発生したか、急変か、漸減か、慢性かを明確にする必要があります。突発・急変の場合には、短寿命化した原因を特定して対策を打つことが肝要です。慢性の場合は、主要損耗の原因を明確化し、成形条件変更により負荷を軽減したり、同負荷に対して有利な方向に型材料、硬さ、熱処理、表面処理などを変更したりする必要があります。漸減の場合には、経時的に劣化している要因の排除、あるいは、慢性と同様に型材料面の一段のレベルUPを図る必要があります。

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ツールマーク

切削加工時のツール目のことです。粗く残存すると応力集中源となり、クラックが発生し易くなったり、摩擦係数を増加させ、早期摩耗に繋がったりします。応力集中個所のツールマークは研磨などによる除去をお願いします。

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脱炭

熱処理時、金型を取巻く空気中の酸素と、金型表面の炭素が結合することにより、金型表面の炭素量が減少する現象です。脱炭すると、熱処理時の膨張量が少なくなり、マルテンサイト変態点も上がるため、焼入時の表面引張り応力が増大し、焼割れ・熱処理変形を起こしたり、引張応力が残留したりします。脱炭部は低強度と引張応力残留により疲れ強さが低下するため、クラックが発生し易くなります。また、低強度のため早期摩耗も発生し易くなります。
脱炭対策は真空熱処理炉の使用が最も効果的です。

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放電変質層

型彫り放電加工(EDM)やワイヤー放電加工(WEDM)は、型材表面を放電スパークにより溶融・除去する加工法であり、放電加工表面には、溶融層(凝固組織で焼入れまま状態であり、低靭性)、再焼入れ層(低靭性)、再焼戻し層(低強度)の変質層が発生します。特に微細クラックを伴うような溶融層が残存する場合には、早期クラックが発生し易くなります。負荷の掛かる部位を放電加工する場合、放電加工後の放電加工溶融層の除去徹底をお願いします。

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